【開催延期】丸井金猊「写と想像⇄創造」展
東京国立博物館 特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」をみてから
延期確定前の情報を記録としてこのページで残しています。
延期確定後の情報(10月開催予定)はこちらでご確認ください。
丸井金猊ラボ∞谷中M類栖/1fでは初の試みとして「芸工展」期間外展示を実施いたします。
2020年3月13日㊎→17日㊋~5月10日㊐、東京国立博物館で開催される特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」では、昭和24年の金堂火災により焼損した壁画の火災前・後の模写、および法隆寺大宝蔵院に安置された観音菩薩立像「百済観音」の実物が展示されます。
その展示に触発され、丸井金猊ラボ∞谷中M類栖では金堂壁画の複製写真と、百済観音を画中で模写しながらもデフォルメした金猊のタイトル不詳屏風「観音圖*」を展示いたします。
非常事態宣言の発令により東京都下は5月6日までの外出自粛が要請され、GW中の開催予定だった丸井金猊「写と想像⇄創造」展は延期といたしました。開催日程は東京国立博物館 特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」の開催状況を踏まえ、確定次第改めてご案内いたします。
東京国立博物館 特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」をみてから
日時:2020年
宝塚市立中央図書館×丸井金猊「写と想像⇄創造」展5月1日㊎~6日㊌㊗←開催延期 13:00〜17:00
会場:丸井金猊ラボ∞谷中M類栖/1f(入場無料)
〒110-0001 東京都台東区谷中1-6-3(Google Map)
主催:丸井金猊ラボ∞谷中M類栖
協力:宝塚市立中央図書館
広告:Peatix
SNS:Facebook、Flickr、Instagram、Twitter ハッシュタグは #kingeimarui
チラシ:PDF準備版(1.2MB)・PDF正規版(1.5MB)
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展示予定作品
・観音圖* 1936(昭和11)年頃 紙本彩色, 四曲屏風 226.0×332.0cm(谷中M類栖 所蔵)
・聖徳太子二童子像* 1928(昭和3)年 絹本彩色, 額 50.8×70.0cm(個人蔵・江南市)
・唐本御影写 聖徳太子二童子像* 1928(昭和3)年 絹本彩色, 額 50.8×38.5cm(同上)
・馬上太子圖* 1928~35(昭和3~10)年頃 絹本彩色, 軸 52.3×38.5cm(個人蔵・一宮市)
・法隆寺金堂壁画コロタイプ印刷の複製プリント(宝塚市立中央図書館 所蔵)
*マークはタイトル不詳で、主催者が仮で設定したものです。
資料展示
・東京国立博物館 特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」図録
・同展特別販売「国宝・百済観音フィギュア」(海洋堂 制作)
・奈良国立博物館「法隆寺金堂壁画写真ガラス原板─文化財写真の軌跡─」図録
・日本美術全集2 法隆寺と奈良の寺院(小学館 出版)
・なぜか家にある法隆寺の瓦 ほか書籍多数
コンセプト
金堂壁画コロタイプ印刷の複製プリント(宝塚市立中央図書館 所蔵)
金堂壁画の複製写真は、昭和10年に京都の美術印刷会社・便利堂がガラス乾板に原寸大撮影した写真のコロタイプ印刷の複製品のデータプリントで、複製品自体は国内外25箇所の博物館、図書館、大学などに頒布されました。宝塚市立中央図書館もその所蔵先の一つで、2014年に同館で開催された「宝塚歌劇のあゆみ」展に金猊が東宝劇場の壁画に描いた『薫風』の下絵を出品したご縁で、今回その複製写真をお借りできることになりました。
法隆寺に現在設置されている壁画はこの写真を下図として安田靫彦や前田青邨ら当時の精鋭画家によって模写制作が行われており、実物を実見できない画家の目を補完する重要な二次資料となりました。しかし、当時の画家の手記を読むと写真に写った壁画の剥落や変色をどう捉えるか、将来の経年変化をどう想定するか、線描と色彩のどちらを重視するかなどで考え方にも差異があり、現物に忠実な写生と言ってもそこに画家の想像力に委ねざるを得ない面があることが伺えます。言い換えるなら模写から完全にそれを描く画家の作家性を消し去ることはできません。
丸井金猊ラボ∞谷中M類栖では、その複製写真を1号壁〜12号壁まで全12点、6号壁に関しては実寸サイズで出力し、他は縮小サイズにて、なるべく法隆寺と東西南北において同位置になるように展示します。
百済観音を画中に収めた丸井金猊「観音圖*」(谷中M類栖 所蔵)
一方、23年ぶりに東京で公開されることになった像高約210cmの百済観音像の実物は、出所不明の謎多き仏像で、百済観音という名前が付いたのも大正時代に入ってからと言われています(それまでは虚空蔵菩薩と呼ばれていた)。
その百済観音を昭和11年頃に金猊は高さ226cm、横幅332cmの屏風(仮題「観音圖」)の中に描きました。
但し、金猊の観音は法隆寺の百済観音が右手を前に差し出し掌を天に向ける与願印の印相をしているのに対し、腕を上にあげ、中指を折るようにして蓮華を摘まんでいます。左手も実物は親指と中指で水瓶の口を摘まんでいるのに、何も持たずに親指と中指を合わせた中品中性の説法印の印相をしています。他にも宝冠や胸飾、腕釧を現物は錆びているにもかかわらず、新品の黄金色に仕立て上げました。そして百済観音を挟んだ人物の衣装にも他の観音像の衣相からの引用と思われるパーツが多数あり、金猊は百済観音の模写から想像を広げ、遊び心一杯の世界観を創造しています。
丸井金猊「写と想像⇄創造」展では、東博での展示と同一の対象を扱いながら複数の「写」を通じて見え隠れする「想像⇄創造」の間の、模写画家のみならず、それをみる/みてきた人々の反復に目を傾けて行きます。また、法隆寺、聖徳太子と関連する作品、資料、フィギュア等を展示いたします。東博から徒歩10分、散歩がてらに写と想像⇄創造の「法隆寺」を反復してみませんか。