*1930〜35(昭和5〜10)年 20〜25歳
絹本彩色, 軸 117.8×37.0cm
谷中M類栖/1f(東京都台東区)
maybe, about 1930-35, 20-25 years old
color on silk, hanging scroll 179.0×42.5cm
Yanaka M-Louis.(R)/1f, TOKYO
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菊池契月『敦盛』の模写から独自にアレンジしたものと思われる。
経巻を持つ手が筆を持つ手に変わり、左手には短冊を持っている。また、契月作では何も置かれていない手前の机の上に金猊作では経巻が置かれた。
右の画像は京都市美術館で1999年11月2日〜12月5日まで開催された「京都新聞創刊120年記念展 菊池契月とその系譜」の図録より。
下記解説も同様に同図録より引用。
菊池契月『敦盛』- Atsumori
(young nobleman of the Taira clan, Heian period)
1927(昭和2)年 京都市美術館蔵
契月は『平家物語』からよく取材している。しかも彼が好んで描いた人物は武人としての面よりも芸術面に優れた人物たちであり、共通して悲劇的な最後が語り草となっている。『平家物語』に語られた無常観を彼らの肖像を通して作者は示そうとしたのであろう。先の「経成」しかり。この敦盛も笛の名手として聞こえている。敦盛が手にしているのは経巻のようであるが、笛のような錯覚を覚える。私たちの中に敦盛のイメージが笛と結びついているせいであろう。白描画に近い画面から浮き彫りされてくる白皙の美少年、その透明感には息を呑む。昭和に入ってからの契月は彩色画と白描画の二つの系統を使い分けて自身の世界を展開したが、この作品はその最初である。