丸井金猊

KINGEI MARUI

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芸工展2026「観音圖■相澤哲也▲溝口泰信●丸井金猊」

観音圖■相澤哲也▲溝口泰信●丸井金猊
芸工展2026

丸井金猊ラボ∞谷中M類栖としては21回目の参加となる今年2026年の芸工展では、
芸工展2026「観音圖■相澤哲也▲溝口泰信●丸井金猊」と題し、谷中M類栖としては初めての試みとなる二人の画家を招聘しての新作展を開催いたします。
(既存作品を展示してのコラボ展は過去に複数回開催しておりますが)

相澤哲也溝口泰信の二人は、1997年三鷹市美術ギャラリーにて遺族主催で開催した「丸井金猊とその周辺の人たち」展で、金猊《観音圖*》屏風が初めて展示されたときに立ち会っており、その後も折に触れて顕彰活動の相談をしておりました。

2024年秋、その二人に《観音圖*》にまつわる企画参加を呼び掛け、《観音圖*》に描かれた奈良の国宝四観音を三人で巡り、和辻哲郎『古寺巡礼』の四観音登場箇所をオンライン読書会にて読み合わせし、さらには金猊の学生時代に東京美術学校が発行し、金猊も研究資料、もしくは模写対象としたであろう『南都十大寺大鏡』を主軸とした四観音の模写に挑んでもらった上で、四観音から画想を得た二人の新作四点《観音圖*》の両翼に展示いたします。

百年近い時を越え、四観音を介して三者が響き合いつつも火花を散らす、その瞬間を目撃してください。この企画展に向け、相澤哲也が書き下ろした『丸井金猊試論──やまと絵の継承から「スーパーフラット」の先駆者へ』もご一読できます。

芸工展2026「観音圖■相澤哲也溝口泰信●丸井金猊」

会期:2026年10月3日㊏〜5日㊊・10月9日㊎〜12日㊊㊗・10月30日㊎〜31日㊏
時間:13:00〜17:00(10月12日㊊㊗のみ16:00まで)
会場:丸井金猊ラボ∞谷中M類栖/1f(入場無料・予約不要)
   〒110-0001 東京都台東区谷中1-6-3(Google Map

出品:相澤 哲也(1956年 北海道出身・大阪府羽曳野市在住)
   溝口 泰信(1954年 福島県出身・福島県福島市在住)
   丸井 金猊(1909年 愛知県出身・東京都三鷹市在住・1979年歿)
美術表装:飛髙堂 (有)牛田商事
デザイン協力:大谷 徳アトリエ・フラン講師・デザイナー)
協力:白石 学(武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科教授)

主催:丸井金猊ラボ∞谷中M類栖(金猊の孫:丸井 隆人
SNS:FacebookInstagramLINEX(Twitter) ハッシュタグは #kingeimarui
note:芸工展2026「観音圖■相澤哲也▲溝口泰信●丸井金猊」開催に向けて


◎丸井金猊《観音圖*》とは?

丸井金猊《観音圖*》
丸井金猊《観音圖*》 1936年頃(26歳) 紙本彩色, 四曲屏風 226×332cm

金猊が昭和11年(1936)、妻さだゑと出会った頃に描いた画題不詳の四曲屏風作品。
1995年にさだゑが他界し、遺品整理の際に蔵の奥から裂地も縁もない四折の状態で見つかり、三鷹の飛髙堂に表装を依頼。当初《観音前の婚姻圖》としていた仮題を2008年に《観音圖*》と改めました。*(アスタリスク)は遺族が設定した仮題作品に付しています。

kannon_before01.jpg kannonzu2026f.jpg
㊧発見直後の裂地も縁もない《観音圖*》屏風。無謀にも庭に出して確認している。㊨飛髙堂による表装後の《観音圖*》

◎四観音とは?

美術史家の山本陽子氏は、2008年開催の一宮市博物館特別展「いまあざやかに丸井金猊展」図録で(参考)、《観音圖*》には法隆寺百済観音以外にも

法華寺十一面観音肩衣(かたぎぬ)天衣(てんね)迪津子(みつこ)の朱色のストール
法隆寺救世観音細帯(さいたい):蘭子の垂れ下がるピンクのリボン
聖林寺十一面観音条帛(じょうはく):霊子のトルコブルーのストール

上記三観音の装束が、画面左から2〜4人目の女性像の衣装に転用されていると指摘されました。これに百済観音を加えた観音四体を、谷中M類栖では四天王ならぬ「四観音」と呼ぶことにしました。

金猊《観音圖*》四観音転用・引用の概略

金猊《観音圖*》大下図は線描が鮮明になるので、法華寺十一面観音を例に溝口泰信
・相澤哲也の模写と比較するとどこを転用したかがわかりやすいかと思います。

金猊《観音圖*》大下図と㊧溝口泰信㊨相澤哲也《法華寺十一面観音》模写比較
金猊《観音圖*》大下図の迪津子と法華寺十一面観音模写を並べての転用箇所比較(㊧溝口泰信 ㊨相澤哲也)

展示構成

二人の画家、相澤哲也と溝口泰信には、四観音をモチーフとした四作品の制作を依頼しました。
ただし、四観音を直接描くというわけではなく、四観音を模写して得られた感触をもとに、互いに意見交換して考察を深めた上で、各々の画風に立ち返って制作を進めてもらいました。その際、金猊《観音圖*》では百済観音だけが仏像として描かれたように、百済観音モチーフとそれ以外の三観音モチーフ作で見かけの異なる対象を描いてほしいとオーダーしました。

近年、相澤哲也は地蔵と古墳をモチーフとして描くことが多く、溝口泰信はジャズのアルバムジャケットをモチーフとするケースが多かったので、創作具体例として二人の過去作品を拝借し、
・相澤哲也(西壁面)‥‥地蔵|地蔵|古墳|地蔵
・溝口泰信(北壁面)‥‥演奏者|演奏者|指揮者|演奏者 → 歌唱|吹奏|鍵盤|吹奏
という並びで、谷中M類栖の西側壁面と北側壁面の立面図を書き起こし、例示しました。

西側壁面 北側壁面

しかし、ここで一つ問題となるのが、金猊《観音圖*》第一扇(右端)の人物、晴子には観音の引用源が見つかっておらず、第三扇(左から二枠目)に蘭子(法隆寺救世観音)と霊子(聖林寺十一面観音)が同居していて、四観音を四作四フレームとして《観音圖*》通りに並べられないということです。

観音圖と四観音

そこで二観音が同居する第三扇は、中央の霊子=聖林寺十一面観音だけを配し、空位となった第一扇に蘭子=救世観音を移動させ、各フレームに四観音モチーフ作が納まるようにしました。

観音圖に対する四観音対応作の並び

ここで《観音圖*》の並び順と揃えず、救世観音を移動させたのは、第二扇の位置で他と異なる見かけの百済観音の配置を三者で統一させたかったからです。それによって展示レイアウト上、異物の所在のリズムを揃えることを優先しました。

また、第四扇の馨子以外は皆、第一扇の晴子に視線を送っています。しかし、その中で一人だけ碧眼の眼差しで晴子を強く睨みつけているかに見えるのが蘭子です。他の人物たちは無表情と取れなくもない、ただ晴子を見ているだけの相貌なのに、蘭子だけが斜め後ろからの横顔しか伺えない晴子の応答を求めているようにも見えます。そこに二人の視線の交換/交感を見出すと蘭子=救世観音を第一扇に配置転換する根拠にも繫がるのではないかと考えました。


◎出品者プロフィール

相澤哲也・溝口泰信の二人の画家の略歴と過去に制作した作品を紹介します。

相澤哲也 - Tetsuya Aizawa

1956年北海道出身・大阪府在住。武蔵野美術大学大学院日本画コース修了。
塩出英雄、毛利武彦、麻田鷹司、猪木匡四郎、奥村土牛の指導を仰ぐ。
美術家、日本画家。アトリエ・フラン講師を勤め、東京近郊で個展中心に発表。
2003年「軽蔑して服毒」三鷹市美術ギャラリー開催後、関西に転居。
制作発表を重ね、2017年~3年連続葛城アートFAIR受賞。
現在奈良県の高田日本画会所属。制作の傍ら美術、日本画への考察を深める。
金猊と「やまと絵の系譜」に関する試論執筆。相澤絵画教室主宰。

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《樹下聲明》 2023年 116.7×116.7cm                 《舞踏家》 2006年 65.2×35cm
溝口泰信 - Yasunobu Mizoguchi

1954年福島県福島市出身・在住。金猊の義甥。
武蔵野美術大学日本画学科卒。元福島県立美術館学芸員。画家。
1991年ギャラリーK.、1998年福島市民ギャラリー、1999年ドーム・スペース象にて個展。2011年まで「ギャラリー宙」運営。アトリエMIZO主宰。
2008年一宮市美術館特別展「いまあざやかに丸井金猊展」図録に「記憶の中の丸井先生」を寄稿。

mizo_duke.jpg
《スイングしなくちゃつまんない》 1988-89年 130×162cm