丸井金猊

KINGEI MARUI

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芸工展2026「観音圖■相澤哲也▲溝口泰信●丸井金猊」

観音圖■相澤哲也▲溝口泰信●丸井金猊
芸工展2026

芸工展2026「観音圖■相澤哲也溝口泰信●丸井金猊」では、
丸井金猊《観音圖*》屏風とその両翼に現存する二人の画家、相澤哲也氏と溝口泰信氏のタテ長四作品を展示します。

金猊《観音圖*》には法隆寺百済観音像が手や腕の造形を変えて描かれていますが、美術史研究者の山本陽子氏の分析により、それ以外にも人物像の衣装パーツに少なくとも三体の観音像からの衣装転用があることが判明しています。

金猊《観音圖*》転用・引用の対比(人物名は《観音圖*》大下図に書き込まれたもの)

金猊《観音圖*》四観音転用・引用の対比

法華寺十一面観音肩衣(かたぎぬ)天衣(てんね)が左から二人目の人物・迪津子(みつこ)のストールに転用
法隆寺救世(ぐぜ)観音細帯(ほそおび)を左から三人目の人物・蘭子のリボンに転用
聖林寺十一面観音条帛(じょうはく)を左から四人目の人物・霊子のストールに転用
法隆寺百済観音はそのまま描かれるが、左手に水瓶はなく、右手には蓮華の茎

これら以外にも装飾品や壺、香炉等にも引用が張り巡らされますが、百済観音像を含む四体の奈良の国宝観音が《観音圖*》には描かれているということになります。

そこでこれまで研究者視点で解析されてきた《観音圖*》を、画家の目や感覚で捉えると何か新たな気づきや発見が生まれないだろうか。そのような考えから、谷中M類栖としては初めての挑戦となる二人の画家を招聘し、国宝四観音をオマージュする新作4点をそれぞれ《観音圖*》の両翼に展示する企画展を開催いたします。

芸工展2026「観音圖■相澤哲也溝口泰信●丸井金猊」

会期:2026年10月3日㊏〜5日㊊・10月9日㊎〜12日㊊㊗
時間:13:00〜17:00(最終日16時まで)
会場:丸井金猊ラボ∞谷中M類栖/1f(入場無料・予約不要)
   〒110-0001 東京都台東区谷中1-6-3(Google Map

出品:相澤 哲也(1956年 北海道出身・大阪府羽曳野市在住)
   溝口 泰信(1954年 福島県出身・福島県福島市在住)
   丸井 金猊(1909年 愛知県出身・東京都三鷹市在住・1979年歿)
軸装:飛高堂(㈲牛田商事・東京都三鷹市)
チラシ・ロゴ デザイン:大谷 徳(1971年 京都府出身・アトリエ・フラン講師・デザイナー)

主催:丸井金猊ラボ∞谷中M類栖*丸井 隆人(1970年 東京都出身・大阪市在住)
SNS:FacebookInstagramLINEX(Twitter) ハッシュタグは #kingeimarui
note:芸工展2026「観音圖■相澤哲也▲溝口泰信●丸井金猊」開催に向けて


企画趣旨

丸井金猊『観音圖*』に転用引用された国宝四観音、法華寺と聖林寺の十一面観音、法隆寺の百済観音と救世観音を2024年秋に画家の相澤哲也氏、溝口泰信氏と主催者の三人で巡り、二人の画家が各々に感受した四観音の世界をタテ長四作品に仕立て、金猊『観音圖*』四曲屏風の両翼に集わせる企画展示を、芸工展2026「観音圖■相澤哲也▲溝口泰信●丸井金猊」として開催します。


企画の成り立ちと展開(随時更新予定)

『観音圖*』発見と仮タイトルの変遷

丸井金猊『観音圖*』は金猊生存時は蔵の2階の奥に眠っていて、金猊の妻・さだゑ以外の遺族はさだゑが1995年に亡くなって遺品整理をするまで、そこに何かあるらしいということまでしか知られていなかった作品でした。それが見つかったときには屏風仕立てにはなっていましたが、布地や竿椽が表装されておらず、それを当時の地元・三鷹の表具屋「飛高堂」に依頼し、現在の状態になりました。

1995年『観音圖*』屏風発見直後の無表装状態
1995年『観音圖*』屏風発見直後の無表装状態。広げるスペースがなく無謀にも庭に出して開いている。

タイトルや制作年も不明で、後から見つかった大下図の余白には登場人物の名前が記載されていることが判明しましたが、本体のタイトルは不明で遺族が仮で最初の頃は『観音前の婚姻圖』、その後に展示を続けて行くうちにお客様から婚姻の図なのか怪しいという指摘もあり、シンプルに『観音圖*』と余計な情報を省いた仮題に変更しました(アスタリスク * を仮題の印としています)。

表具屋「飛高堂」により表装された『観音圖*』屏風。2020年撮影
表具屋「飛高堂」により表装された『観音圖*』屏風。2020年撮影。
美術史研究者・山本陽子氏による『観音圖*』絵解き

2008年に一宮市博物館での特別展「いまあざやかに 丸井金猊展」の展覧会図録にて美術史研究者の山本陽子さん(明星大学教授)が『丸井金猊と古美術の学習─画家の茶目っ気─』という寄稿文でこの『観音圖*』をものの見事に絵解きされ、一目見て分かる法隆寺百済観音以外にもこの画には法華寺十一面観音、聖林寺十一面観音、法隆寺救世観音と、奈良の国宝指定されている観音像の衣装の形態を洋装に転化したと思われる部分が見受けられることが指摘されました。

金猊『観音圖*』転用・引用箇所

それ以外にも白地レキュトスや香炉、光背など、他にも解明されていない箇所が複数ありますが、引用の織物とでも言いたくなるほどに引用転用の形跡が多数見られます。そんな中で観音四体に関しては法隆寺百済観音だけが実像として引用され、他の観音三体は人物衣装に転用という手法が採られました。それも百済観音の仏像だけが荒々しいタッチで立体的かつ肉感的に描写され、他方で人物像は観音衣装転用の三人以外の三人含む全員が平面的で二次元的な、今で言えば漫画やアニメのような筆致で描写されます。現時点で金猊の遺したメモ書きや手紙に創作意図を示す手掛かりとなるような記述は見つかっていないので、残念ながら憶測の域を出ることはありませんが、それでもその画想構想を紐解きたくなるところはあります。

画家の目が捉える世界

そこで研究者や評論家の手によって更なる分析・解析が進むことも望むところではありますが、それとは別に金猊と同じ制作者である画家の目で『観音圖*』を、その『観音圖*』が観音四体を引用転用して描かれている事実を知った上で『観音圖*』と並ぶ作品を描くことで研究とはちがった形で見えてくるものがあるのではないか。そのような直感からまずは『観音圖*』が見つかって間もなくの『観音前の婚姻圖』だった頃を知っている二人の画家、相澤哲也氏と溝口泰信氏にお声掛けし、芸工展で『観音圖*』と並ぶ前提での新作の展示を依頼しました。

つづく(随時更新予定)